PC『さくらの雲*スカアレットの恋』感想・レビュー

さくレットクリアしました。クリア時間は17時間で、いわゆる途中下車方式です。

 

評価:S+(傑作+)

 

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さくらの雲*スカアレットの恋

さくらの雲*スカアレットの恋

  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: DVD-ROM
 

 

目次

各ルート感想

 ※ネタバレ注意。『アメイジング・グレイス』の話もします

 

 

 

 

 

共通ルート

最大限さくレットを楽しもうと思って前情報をほとんどカットした上でのプレイでしたが大正解でした。体験版がどこまでだったのかは分かりませんが終盤に災害に見舞われるという展開は『アメイジング・グレイス』まんまで唸りましたね。

「またこれか」と思う人もいるかも知れませんが、アメグレが傑作だったために今度はどんな展開になるんだろうと期待が止まらなかったです。

 

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舞台も絵に描いたような大正ロマンで魅力的でした。(大正が舞台の作品と聞いて『サクラ大戦』しか出てこなかったのは悲しいですが。)

過去にタイムスリップした人間が知識を生かして無双するのはお決まりですが、何度見ても面白いものです。しかし、お決まりとは言え主人公の知識量が半端じゃなくてビビりました。文学、近代史、物理などありとあらゆる方面に明るくて憧れます。区で一番の学校通ってると行ってましたが都で一番の間違いでは?

 

共通をやって一番気になったのは所長の名前ですかね。

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歴史上の偉人なのか

他にも、前倒し関東大震災が来るまでの穏やかな運びの中で伏線という伏線が至るところに張られており、食いつくようにテキストを追っていました。掛け合いも飽きさせない笑えるものが多かったです。

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共通の段階で傑作の香りがプンプンしていたのですが、ただ唯一、男の立ち絵が非常にチープだったのは少し残念。

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このおっさんだって使い捨てではなく重要なキャラ

逆にメインヒロインは過去イチで魅力的でした。特に所長のキャラデザは秀逸の一言。

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かわいい

 

遠子ルート

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共通ルートのすべてを掻っ攫った女。最初に攻略することになるとは思いませんでした。

 

所長との出会いからやり直しになるんですが、アメグレとは大きく異なってさくレットはパラレルワールドというか記憶を引き継げないんですね。

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代わりに地震を迎えた世界からアドバイスが送られてくる。そして共通は2周目で遠子はそれ以降のやりなおしということが分かりました。(アメグレでは1周目がキーだったので何かあるのかと思いましたが何もありませんでした。)

 

記憶はリセットされているので、前倒し関東大震災の衝撃は何処へやら、遠子との真っ当なラブコメと怪盗にスポットが当てられます。

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澄ました顔で頭を撃ち抜いていたのでかなり身構えていたのですが、テンプレお嬢様で可愛かったです。そしてM気質。

 

結構気になったのは電報で伝えられた用心暗殺を防いだのに加えて、柳楽と組んでテロを抑えたことですね。人殺しを見過ごすのはアレですが、過去改変は避けるべきですからね。そこらへんの葛藤があまり感じられませんでした。

また、Wikipediaで調べても4月13日は二・二六事件五・一五事件のようにヒットしなかたことも引っかかりました。

 

蓮ルート

メインでありながら唯一タイムトラベルを知らず主人公を帰国子女と思っているちょっと扱いがかわいそうなコ(そのせいか他のヒロインに比べると影が薄い)。

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ミラノ帰りの真実を知ったり、エロい話をすると目をぐるぐる回して可愛いのですが、そんな彼女も序盤だけで、影が薄かったのを吹き飛ばす勢いでキャラが立っていました。主にHシーンで。遠子をM気質と言いましたが、蓮はS。

 

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純真だった頃の彼女はもういない

この手の性格のヒロインはどこか強キャラというのは世の常ですが、蓮も例にもれず強かったですね。

蓮に限らずさくレットはHシーンにも非常に力を入れていたように感じます。

 

本筋に関しては、「永久機関」、「モノポール」とソソるワードがたくさん出たり、所長の秘密に迫れそうな別府での地熱発電など確実に物語は進んでいましたが、蓮ルートは遠子に増してラブコメ一辺倒でしたね。らしい選択肢も出てきましたし。蓮というヒロインを堪能できたので良かったです。

このルート以降サブヒロインみたいな空気になるのですが本人のルートのおかげでプレイ後の印象は他のメインと同等かそれ以上です。

 

メリッサルート

今度は寝台列車の旅となり、大きく舞台を変えます。

乗客に身内しかいないので『オリエント急行の殺人』じゃんと思いましたが、凶器は『Xの悲劇』でしたね。

 

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登場人物が一堂に会することとなり、色々な関係が見えてくるルートでした。さくレットはエロゲにしてはサブキャラクターが多いように感じましたが、複雑な関係が築かれており、最初から最後まで誰一人とて腐っていなかったのも高評価です。

 

ちなみに列車での私の推理はボロボロでした。殺人は絞殺じゃないと判明したときに柳楽が真っ先に怪しいと思いましたが、これまでの彼を見るとどうも腑に落ちなかったんですよね。極限状態の地震の時だって頼もしかったし。

雪葉の印象が強かったこともあります。

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遠子然りマイ然り人間タイミングや環境でどうとでも転ぶってことなんでしょうね。にしても彼の置かれた状況を考えると本当に可愛そうでしたが。

 

メリッサについてですが、ピンク髪のヒロインとなると否が応にもサクヤを思い出して色々勘ぐりましたね。色々重なるところもありますし。

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Hシーンで堂々とアザを見せつけられて大声あげたりしましたが、無論エスパーなんてデタラメで、そんな思いとは裏腹にただのかわいいヒロインでした。

 

…と思っていたらエピローグでどんでん返しが。

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主人公の言葉の通り思いもよらぬ死角から脳天をぶち抜かれました。主題歌インストが流れる演出も相まり、鳥肌が凄まじかったです。衝撃の度合いでいうとアメグレで無文字社会が判明したときのような。

 

アララギが異能者は1人いると言っていましたが、そんなのやたら念仏を唱えていた加藤大尉以外にありえないと思っていました。(あれば全部演技だったのか?)完全完璧なミスリードでしたね。私がさくレットに求めていたのはこの類いの衝撃で、嬉しさに悶ました。

 

やはりピンク髪には秘密があるんですよ。

 

所長ルート

総決算ルート。文句なしに面白かったです。

 

この手の作品だと基本的に最終ルートでこれまで解決した問題を一挙に引き受け、さらに真相に辿り着く訳ですが、さくレットは何もかもボリュームが凄いので圧巻でした。

 

ですがやはり一番印象的なのは主人公のトリックでしょう。前3人のルートで比較的あっさり大正に留まることを決めたのは大きな理由がありましたし、いっちょ前に格闘していたのも訓練していたからです。四・一三事件など私が知らない歴史もあって当然ですね。

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メリッサの能力と比較してこちらは所長が暴いていく過程が描かれましたから、身構えもできましたし、薄々勘付けましたが、それでもやはり驚きましたね。まったく知らない元号が出てきて義手見たときとか立ち上がって部屋をウロウロしました。

 

一応主人公の元いた時代が戦禍に包まれていた可能性は考えなかったわけではないです。メリッサルートでかなり大きいヒントが提示されましたから。

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また主人公がHシーンでも頑なに手袋を外さないのは火傷痕でもあるんだろうとも思っていました。しかしながら最序盤の電波塔のある現代の風景を見てその線は考えにくかったんですよね

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戦争となると『STEINS;GATE 0』で描かれた荒廃した風景を思い出してしまうのでいかんせん呑気だなと。しかし考えてみると四六時中戦ってる訳じゃないしどこもかしこも燃え尽くしているのは非現実的なんで桜の下でのんびりすることだっとありますね。

 

思えば主人公が共通ルートで淫夢を見て猛烈にシコるのもミスリードに組み込まれていたんですね。

 

 

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このトリックを見られただけでもう大満足なのですがラスボス戦も非常に良かったです。なるほどさくレットの世界では親殺しのパラドックスパラドックスにあのような答えを出すのですね。所長は表の歴史に刻まれていませんがやはり偉人でした。

 

そして最後の別れは冗談抜きで心苦しかったです。他のヒロインルートと同様に留まればいいじゃんと思わずにはいられなかったですね。

私は基本的にはハッピーエンドの方が好きでビターなエンドは見たくないのですが、

離別のある作品は漏れなく心に残るから厄介です。

そういった意味でも傑作『さくらの雲*スカアレットの恋』は忘れられない作品になりました。

 

総評

『さくらの雲*スカアレットの恋』は『アメイジング・グレイス』の期待を裏切らない傑作です。プレイできたことに感謝しかありません。

 

アメグレの衝撃をもう一度味わいたいと思っていましたが、本作ではなんと2度もその衝撃を味わえました。もちろんその衝撃だけがこの作品の評価点ではなく、大きなトリックに加え、伏線を張りまくりながらも緻密で芯の通ったストーリーライン、大正という時代の表現、キャラゲーのように魅力的に描かれるヒロインとどこをとっても一級品です。

 

また、さくレットは各ルートでヒロインだけでなく取り扱う内容もガラッと変わるので中弛みの心配がありません。冬茜トム氏は天才です。

 

発売日から2日でクリアしましたが、早くすべて知りたい思いとまだクリアせずじっくり楽しみたい思いのせめぎ合いでした。今から次の「きゃべつそふと×冬茜トム」の次回作に期待が止まりません。

 

さくらの雲*スカアレットの恋

さくらの雲*スカアレットの恋

  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: DVD-ROM